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病院薬剤師のメリット・デメリット

病院薬剤師の
メリット・デメリット

2012年の診療報酬改定により、病棟薬剤業務に対して加算がされるようになりました。
近年は薬学生の半数以上が病院薬剤師を第一志望として挙げており、「薬剤師の花形」というイメージを持っている方も多いでしょう。

しかし、「病院は勉強できる環境だから」という漠然とした理由だけで就職すると、入職後に違和感を感じてしまうこともあるかも知れません。

志望する方が多い病院だからこそ、今回は「病院薬剤師」の業務と実情について考えていきましょう。

目次

1.病院薬剤師はチーム医療の一員

2012年の病棟薬剤業務実施加算から、「病院薬剤師の業務内容」「病院薬剤師への認識」が大きく変わってきています。

それまでの医療現場は医師を頂点とするトップダウン方式が多く、患者と直接接する機会の多い医師・看護師に対して、薬剤師は指示された薬を用意するだけの裏方という認識がありました。

しかし、医療は日々進歩しており、より良い医療の提供をするために各分野の専門家の知識が重要視されるようになりました。
新薬の開発やジェネリック医薬品の普及もあり、薬剤師の専門知識が求められるようになったのです。

まだまだ薬剤師の立場は弱いという声もありますが、薬剤師がチーム医療の中で担う役割は大きくなっています。

各分野の専門家が協力して行う「チーム医療」を国がバックアップした2012年が、薬剤師にとってひとつの転機となったことは間違いありません。

2.病院薬剤師のメリット

病院薬剤師の一番のメリットは、臨床の現場で仕事ができることでしょう。
病院薬剤師は、入院患者の病床まで行って患者の治療の経過を自分の目で確認することができます。
自分の出した薬の効果が見えますので、非常に手応えを感じられる仕事です。

また、病院ではチーム医療の一員として薬剤師の知識を活かせることもメリットのひとつです。

病院で働く薬剤師は、薬の専門家として治療の問題点を指摘したり、処方の提案をしたりすることもできます。
知識が問われる重要な役割ですが、チームとして医療に貢献できることは、やりがいのある仕事です。

薬局薬剤師でも在宅医療を通じてチーム医療に貢献できる機会はありますが、医師や看護師により近い環境にいる病院薬剤師は、薬だけでなくいろいろな角度から医療に関する知識を得られます。

その他にも、院内製剤なども病院でしか経験出来ない業務内容です。

薬剤師としての仕事の幅が広く、様々なことが経験できるのも病院薬剤師のメリットのひとつです。

また、病院は最新の医療技術が集結する現場ですので、新薬の研究や最新医療に関する勉強ができる職場でもあります。

3.病院薬剤師のデメリット

もちろんメリットがあればデメリットもあります。 まず、薬局薬剤師と大きく異なる点として「夜勤」の有無が挙げられます。

夜間勤務は生活リズムが不規則になってしまう上に、急患が搬送された場合など緊張感のある現場で臨機応変な対応を求められます。
精神的・肉体的なストレスから、体調を崩してしまう方もおられます。

たとえ夜勤がない病院でも、医療の最先端である病院での勤務は勉強するべきことが多く、やりがいがある反面、プライベートな時間が取りにくいこともあります。

また、病院はハードな職場環境にも関わらず、調剤薬局やドラッグストアと比較すると平均給与が低い傾向にあります。
多くの薬剤師が奨学金の返済に追われる中、病院での給与条件では生活が苦しくなってしまい、結局転職をしてしまうという話も良く聞きます。

さらに大きな病院では業務が分担されていることも多いので、「大きな病院で働けば薬剤師として幅広く業務が出来る」という意欲を持って入社したにも関わらず、ずっと同じ科目の調剤しか経験できずにモチベーションが下がってしまう可能性もあります。

そして、残念なことにチーム医療に関しても、病院によっては薬剤師の立場が弱い現場もあるのです。
医師や看護師との信頼関係をゼロから築いていかなければならない環境を個人の力で変えることは難しく、結局転職をしてしまうということもあるようです。

4.自分のしたいことを明確にしましょう

病院薬剤師でしか経験できないことは非常に多く、総合的に見れば病院は、薬剤師として専門性を高められる職場です。

しかし、すべての病院で環境が整っているわけではありませんので、病院薬剤師として働くことのメリット・デメリットを考えつつ、自分がどの業務に従事したいのかを考えましょう。

漠然と「病院で働けば勉強になるから」という考えだけで大病院を選ぶのではなく、自分の目と耳で確認した情報を元に勤務地を探していくことが肝心です。

自己分析をして自分がしたいことを見つけられた後は、企業説明会や病院見学会に参加して、実際に働いている人の詳しい話を聞いてみるとよいでしょう。
ファーネットでも、病院の見学会情報を掲載していますのでチェックしてみてください。

情報は随時更新されていますので、気になる病院の情報を見逃さないよう、定期的に確認する習慣をつけておくと良いでしょう。