医療のファーストアクセスの場として
これから必要な薬局の役割を果たしていきたい
株式会社紫山堂薬局(東京都)
代表取締役社長 白鳥紀美子
本社:東京都 出店エリア:東京都・神奈川県 店舗数:5店舗 創業:1911年 従業員数:48名
明治44年創業で100年以上の歴史を持ち、お得意先を回って注文を聞く「御用聞き」から始まり、現在まで文京区の健康と美を見守り続けている薬局。保険薬局、OTC、日用品・雑貨、化粧品販売にてお客様、患者様のその時代のニーズに合わせたご提案、サポートをしていきながら、今後必要とされるための新たな取り組みを考え、更なる地域貢献ができる薬局を試行錯誤されている白鳥社長のこれまでの話し、今後の考えを聴いてみた。
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歴史が長いですが、創業当初も現在の場所から始まったのですか?
曽祖父の時代にさかのぼりますので、当時の詳しいことはわかりませんが、当時は市電がこの本部の前を走っていて「高等師範前」という駅がありました。現在では、丸ノ内線「茗荷谷」駅になっていて、改札口目の前という好立地の場所になっています。当時は、文京区内の御用聞きとしての商売から始まっていると聞いています。当時から受け継いでいることですが、お客様の声をお聞きして、そのお客様や患者様に合うお薬(OTC)の提供や、健康面でのサポートをし続けている薬局で、医療のファーストアクセスの場が紫山堂ですね。
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社長に就任するに至るまで教えていただけますでしょうか?
社長になることを最初から考えていたわけではないのですが、薬剤師になることは子供ながら家業のことを思って自然の流れで目指したことは間違いありませんね。東京薬科大学を卒業して、すぐ当社に入社せずに、病院と保険薬局を経験して当社に入社しています。修行みたいものですかね。将来は当社で頑張っていこうという覚悟は当初からありました。姉妹もいましたが、私が後を継ぐことになって現在に至ります。人生はいろいろなことがありますね(笑)。
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薬局運営をする上でのご苦労はどのようなことがありますか?
物販での採算の苦労が大きいですね。薬剤師というよりは経営者としての苦労ですかね。大手ドラッグストアチェーンのように、売値を安くするような仕組みがあるわけでもない中、様々な付加価値で顧客に感動を与えることによりご利用いただけることを考えるなど、経営面の苦労が大きいです。保険薬局については、薬剤師の採用に直面することが多いですが、当社に合う人を採用し続けているため離職する方も少なく人数が足りないから困るという悩みは無いですね。今は、これからの時代に合う人、若い力の採用をどのようにしていくかという点に苦労をしているところです。ただ、気持ちがしんどくなることも無く、スタッフと共に楽しく仕事をさせていただいています。
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この先、店舗展開を考えていらっしゃいますか?
店舗を増やそうという考えは無いです。大切なことは、地域の皆様が当社の店舗を常にご利用されること。そして、「かかりつけ薬剤師」がいるから来局してくださるのでは無く、紫山堂薬局に行けば、どの薬剤師にも、どのスタッフにも気楽に声をかけることができる薬局であれば良いと思っています。そうしていると、自然とかかりつけ薬剤師になっていくものだと思っています。薬局内の環境やスタッフの誰もがお客様や患者様に同一のサービスを提供し、健康で美しく生活ができるのが紫山堂薬局だと思っています。多くの方が集まっていただける場所を提供し続けたいと思っています。
かかりつけ薬局になることは、スタッフがかかりつけ薬剤師の制度に沿った活動をすることではなく、今以上に薬局ができることを増やしていかなければなりません。がんに対する不安や悩みの解消をしていただくための「メディカル・カフェ」の運営をして患者様に寄り添ったサポートをすることや、検体測定室を取り入れて未病・予防の観点からアプローチできる薬局運営の取り組みなど、今できることはチャレンジをしています。まだまだ薬局には未知数にできることが詰まっていると思います。 -
薬局が駅改札目の前で、お客様・患者様がたくさん来局されていますね
お陰様でいつも混雑しています。処方せんは、近隣のクリニック、大学病院、機関病院からお持ちいただいています。また、ドラッグストアとしてご利用いただいているお客様もたくさんいらっしゃっています。駅前という好立地だからお越しいただいていることもありますが、処方せんをお持ちになっても、OTCや日用品をお買い求めに来られても、紫山堂薬局に行けば他の薬局とは違う何かがあると思ってお越しいただいているのだと思います。丁寧な接客対応、健康状態を確認できる検体測定やその他の測定機器の充実、美容に関わる相談や商品など、地域の皆様が満足できるサービス提供ができているからだと自信を持っています。
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若い薬剤師や薬学生をどのように見ていらっしゃいますか?
今の薬学生は、薬剤師になるために薬学部を選ばれた方が多いと思います。大学での実習も以前とは違い、長くなっていますし、医療に関心が強い方が多いのではないかと思っています。就職後は仕事を覚えるのも早いですし、即戦力になります。これまで入社した当社の新入社員は、仕事の飲み込みが早く、そして一所懸命です。若手の皆さんには期待することが大きいですね。
素直でチャレンジしたい若手の皆さんが、入社してくださることを期待しています。ぜひ当社の取り組み、活動を見ていただきたいと思っています。様々な処方せん、患者様対応ができます。未病だけでなく、化粧品、フェイシャルエステの取組もあり、薬局にはこれからもできることがたくさん詰まっています。薬剤師の職能領域を広げて活躍していただければと願っています。