患者さんのため、会社のため、働く社員のため。チャレンジングな姿勢で右肩上がりの成長を続ける。
株式会社ストーン・フィールド 代表取締役 石田敬宏
本社:大阪府 出店エリア:大阪府、東京都、神奈川県 店舗数:13店舗
創業:2006年 年商:18億円 従業員:108名(2019年10月現在)
精神科応需と在宅業務に特化し、その更なる高みを目指しながらも他事業への進出も積極的に考えるアグレッシブな石田社長。そして会社が発展していくため、自社の職場環境の風通しを良くすることをとても重視している。その具体的な取り組みにも注目してみよう。
精神科応需と在宅業務の2本柱と、それから。
-
石田社長が起業されるまでの経緯を教えてください。
13年前の2006年8月、32歳のときに独立しました。独立する前は約10年間MRとして働いていました。精神科のドクターに営業に行っていたとき、薬局とのトラブルの話を伺い、それを解決できればドクターも患者さんも喜ぶのではないかと思ったのが起業のきっかけです。一番初めの出店は大阪の放出(はなてん)で、薬剤師1名とアルバイト3名で開業しました。店舗は徐々に拡大し、現在12店舗になりました。
-
御社の特徴を教えてください。
現在も精神科ドクターとの繋がりが多いので、全12店舗の半数の6店舗が精神科をメインで応需しています。疾患のことをよく理解していなければ、精神科は難しく服薬指導ができません。用法もガイドラインなんてあってないようなもので、ドクターによっても異なります。扱いが難しいですがその分やりがいもあるので、その道のスペシャリストになりたいという人には最適な環境です。
在宅業務に関しては、MRをしているときから精神科と在宅医療両方のニーズを解決したいと思っていました。他社に先駆けて取り組んでおり、現在は全店舗で在宅業務をしています。施設も個人宅も両方対応しており、施設在宅93件、個人在宅は106件、薬剤師1名あたり50~70名の患者さんを担当、会社全体では2,000名を超える在宅患者さんを担当しています。 -
今後も店舗の拡大予定はありますか?
ありますが、30店舗までと思っています。それからは違う形態の事業をしていければと考えています。得意先のドクターが事務社員の採用で困っていて事務職の派遣をしてほしいと言われているので、医療事務の派遣業をしたいと考えていました。自社の人材が落ち着いたら着手していきたいです。介護事業への進出も計画しています。
-
海外へも進出されているとお聞きしましたが。
カンボジアの首都プノンペンで2017年から薬局を運営しています。元々カンボジア教師を派遣するNGO団体に寄付をしていたことでカンボジアに行く機会があったのがきっかけです。向こうは8割がOTC、抗生剤や薬もほぼ処方せん無しで処方できます。カンボジアでは日本みたいに薬は箱買いではなく、1錠から買うことができるうえ単価も非常に安いため、利益に繋がりにくいというのが正直なところですが、日本企業であることの信頼性をアピールしつつ、カンボジアの医療に貢献しています。
若手社員の働きやすさのために、試行錯誤も積極的に。
-
社員の方の雰囲気や社風についても教えてください。
薬剤師は全体で55名、今年度は20名採用する目標を立てています。
社員の年齢は30代半ばまでが一番多く、社員の6割強が男性、パート社員を入れると女性が多くなります。ベンチャー気質でチャレンジングな社風なので、若くキャリアアップ志向の社員が多いのが特徴です。最年少では27歳で店長になった社員や、新卒3年目で店長に、5年目でエリアマネージャーになった社員を筆頭に、若手が多く活躍しています。チャレンジすることは大歓迎なので、「こんなことをやりたい」と前向きな人にはどんどんチャンスを与えます。それで例えつまずいてしまったとしても、挑戦したことを称えます。
離職率は低いです。新卒社員の入社は先輩が後輩を紹介するケースが多く、中途採用の場合は、その方の雰囲気に合いそうな店舗をいくつか提案して選考を受けていただいています。 -
若手が多いと社員同士の仲も良さそうなイメージがありますが、いかがですか?
仲はとても良いと思います。福利厚生として、誕生日にケーキを支給して店舗のみんなでお祝いをしています。BBQや新年会、社長宅での蟹パーティーやボーリング大会など……社員みんなで集まって楽しく過ごすイベントが多い組織ですね。イベント事は現場から発信された意見を反映することが多いです。ゴルフ部もあり、お付き合いのある薬局さんと夜ご飯をかけたコンペを年2回開催するほか、新卒5年目未満の20代を中心とした「若手会」と呼ばれるイベントを行っており、普段は別々の店舗で働く同期や同世代の仲間たちと相談したり励まし合ったりと、切磋琢磨できる環境で良い関係を築いていると思います。
-
全体的に若い社員を束ねられる中で、苦労されたことはありますか?
大きな苦労はあったとは感じていませんが、退職者が多いときや仕事が極端に減ったときは大変でした。退職者を減らすためには、各店の店長が店舗のコミュニケーションや成長を促進していくことが課題だと感じています。
-
課題解決のために具体的に取り組まれていることはありますか?
エリアマネージャーの教育で店長のフォローをより積極的に行い、エンゲージメントを通して本部でも店舗の状態を可視化できるよう取り組んでいます。エンゲージメントは『会社に対して自発的な貢献意欲の度合い』や『前向きに働く心理状態』を点数化するシステムで、そこから組織の課題を特定し、改善を行っています。
また、”Unipos”という仕組みも導入しました。社員間のコミュニケーションツールで、日頃の仕事や行動に「ありがとう」をお互いに送り合い、そのポイントを給与として還元するという仕組みです。例えば、処方せん受け取りをありがとうとか、タイムカードの集計をありがとうとか……些細なことでも、ポイントを送り合っています。他店舗で活躍する人の様子も見え、こんなことをフォローしてくれているんだ、ということに気付くことができます。これを活用し、私自身現場の細かい仕事まで直接見ることができます。
いろいろと取り組んでみて、上手くいけばそのまま続行し、そうでなければ考え直します。 -
貢献度合いの「見える化」ですね。他に何か心掛けられていることはありますか?
男性社員でも、希望があれば育休を取っていただいています。店長兼管理薬剤師で、半年間の育休取得から復帰して現在勤務している男性社員も実際にいます。世代的に今後はそれが当たり前になっていくと感じています。周りがフォローできる体制さえあれば、できることは柔軟にしていきたいと思いますね。
-
最後に、石田社長の夢を教えてください。
精神科医療域と在宅領域のジャンルでは日本で知られるような薬局になりたいと思います。いろいろと試行錯誤している真っ只中ですが、例えば文献を出すなど、何か世の中に発信できるようになりたいと思っています。