薬剤師として挑戦
幅広い仕事領域
株式会社大屋(愛媛県)
代表取締役社長 伊藤 慎太郎
本社:愛媛県 出店エリア:愛媛県、徳島県、香川県、高知県 店舗数:54店舗
設立:1951年 従業員数:1098名
地元の生活に密着した業態をされている活気あるドラッグストアだと感じて取材に向かった。地元密着、様々取り組み、薬剤師に対する考え方を聞いてみた。
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社長は何代目ですか?どのような経緯で会社を引き継がれましたか?
3代目になりますね。創業は洋服店から始まったのですが、1973年に地元に必要とされ、利便性がよく、様々な商品が買えるデパートを開業したことが現在の事業体の原型となります。1代目、2代目と引き継がれていく中で、私も引き継いでいくつもりがあり、大学卒業後すぐに当社に入社しました。当時の気持ちは、社会人のスタートは地元から離れて社会人になる予定でいたのですが、当時の業態であった生鮮食品のディスカウントストア「DMAC」を新規開店することもあり、愛媛に戻って手伝って欲しいという先代からの声もあり戻ることにしました。新入社員として精肉担当をすることになったのですが、少しの期間だけ他社の精肉担当の修行に出ました。全く畑違いのことをしていたので、当初はまさかドラッグストアを経営しているなんて思っていなかったですね(笑)。
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思いきった事業転換をされていますよね
地域のみなさんが便利で、ニーズに合うものを提供していきたいという気持ちからですかね。先代からの思いである「どこよりも便利なサービス提供をしていきたい」と考えるから事業転換ができているのでしょうね。生鮮食品のディスカウントストアもそうでしたからね。ガラッと業態を変える時は大変でしたね。生鮮食品を主として販売している従業員が、ドラッグストアで働くことができないという思いが強かったので、最初は若手メンバーが手を上げてくれて業態転換をしていきました。その時代は、薬種商の資格が必要だったので、地元で薬種商の資格をお持ちの方が入社してくださり、私も従業員も資格を取得し従業員一丸となってドラッグストアの立ち上げに力を注ぎました。今このようにドラッグストアとして発展しているのは、その時に頑張ってくれた従業員のおかげですね。右も左もわからずあくせく働いていただいたことに感謝しています。
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様々な事業を展開されていますね。どのようなお考えですか?
私どもの会社でできないことは、他の経営資源を活用していくという考えで、地域が必要としていることは事業として取り組んでいます。当社は、ドラッグストアを柱とし、調剤併設店の展開を加速化しています。自分たちでできることを推し進めていくためには、他の力を借りてやっていかなければ、集中して経営ができないと考えています。サンドラッグさんとの業務提携でプライベートブランドの販売ができるようになりましたし、高齢者の方々が、宅配弁当の「宅配クック123」で健康で美味しい食事を摂れることができるようになりました。「地域の皆様の豊かな暮らし」を実現するために、外部との協力は欠かせないものだと思っています。
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調剤併設店の展開がここ数年で伸びていますね
この2年間で12店舗の併設店を増やしましたね。生活に便利なことを徹底的にやっていくことが当社としての考えなので、調剤併設だけでなく当社が得意としていた生鮮食品を扱うフード&ドラッグの展開も始めています。そしてクリニックの誘致にも力を入れ始めています。調剤薬局はドラッグストアに併設していくことと決めていますので、単独でドラッグストア以外の店舗を増やしていく考えはありません。とにかく「どこよりも便利なドラッグストア」を目指して2025年までの目標を決めて動いています。
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処方せん受付は、「面」で受けていくことですよね
そうですね。高齢者の方々は、多くのクリニックや病院に通われている傾向がありますし、車で生鮮食品や日用品をお買い求めに来られます。そのような高齢者のニーズを考えると、当社のMACのようなドラッグストアにお越しになり、ついでに処方せんをお持ちになります。調剤を併設すると、ドラッグストアにお越しになる客数と比例した患者様数となるはずです。それを考えると複数の処方せんを持った患者様が、かかりつけとしてお立ち寄りになるようになります。もう一つの考えは、調剤だけを併設するのではなく、フィットネスジムを併設するなど総合ヘルスケア事業を目指しています。
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薬剤師を含め、従業員にどのようなことを求めていますか
肉食系ですね(笑)。立派な薬剤師育成プログラムを持ち合せているわけではありません。もちろん、研修や勉強の機会はたくさんありますが、貪欲にいろんなことにチャレンジをしていただきたいと思っています。「創造的挑戦」をできる人が、人のお役に立てる人と考えています。そのような人は、「学び」「変わり」「挑み」続けるはずです。問題・課題解決、達成意欲、成長をすることに繋がっていきます。入社する前からこのような考え方が全ての人にあるとは思っていません。私は、従業員の皆さんと気楽に上下関係の分け隔てなくコミュニケーションを図るようにして、プライベートの話から会社の話までをすることにより、お互いが共通認識を持つように努力をしています。社長としての仕事は、このように泥臭いやり方ではありますが、従業員と楽しく仕事をする環境づくり、人を育てることだと思っています。
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ドラッグストアはやれることがたくさんありますね
そうなんですよ、15兆円産業という莫大な市場があり、調剤とOTCだけでなく無限の広がりがある産業です。未病、予防という観点からすると、当社が始めている事業がさらに広がるはずです。ドラッグストアのお客様が、処方せんをお持ちになること、フィットネスに入会されて健康になること、美味しく健康に良い生鮮食品を買われること、健康に気を使った料理をするために管理栄養士に相談することなど、どんどん広がりが見えてきます。その中で、当社の薬剤師は調剤やOTCだけにとらわれることなく、いろんな仕事にチャレンジをしてもらいたいと思っています。 四国4県に、調剤併設店を広げていき、従業員も地域の皆さんも幸せな生活が送れるように一緒に頑張っていきたいですね!