「みんなを幸せに」
医療人としての自覚と責任
株式会社ハッピーファーマシー(愛媛県)
代表取締役社長 新野 和幸
本社:愛媛県 出店エリア:愛媛県 店舗数:19店舗
設立:2006年 従業員数:180名
松山市内で多くの調剤薬局を展開しているハッピーファーマシー。男気があり若々しく、たくましさのある社長が、おおらかに楽しく取材に応じてくださった。そのような素敵な社長に、これからの薬局、薬剤師の考えを聞いてみた。
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会社を設立されるまで、医療系でご活躍されていらしたようですが、これまでのご経緯をお聞かせください
地元の松山を離れて薬科大学に入学し、新卒として外資系の化学メーカーに入社しました。その後松山に戻って、医薬品卸の会社に転職し営業、そして医療系コンサルの部署にて仕事をしてきました。医療系コンサルでは医師の開業支援や、経営改善のコンサルティング、薬局の開業支援も行っていました。営業やコンサル系の部門から学術系の部門に異動になり管理職になると、これまでセールスやコンサルをしていた時と違い、机に向かって仕事をすることが増えていき、「このままでは男として、営業として活躍することが二度とできなくなってしまう」と思っていたところに、開業支援をしていた医師から、「開業するから薬局をやってくれないか」というお声をいただきました。これが独立したきっかけとなり、現在に至っています。
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薬学部を選ばれたのは、どのような理由でしょうか?
これを話すと恥ずかしい話なんですよ。当時、空手を習いたくて、大学に行ったら空手をやろうと決めていたんです。空手を習い、稽古に励み、後輩指導をするまでになったのですが、実は大学の学部を選ぶ時に、卒業したらカンフーを学びたいという気持ちから漢方を学びに中国に行けるという、非常に短絡的かつ恥ずかしい動機から薬学部を選んだんす(笑)。こんなこと恥ずかしくて言えない話です。結局大学卒業と同時に、自分のやりたいことだけやっていて親に迷惑ばかりかけていると思い、諦めてメーカーに就職しました。私は、いろんなことをやりたい性分でしたね。元々は商船大学に進み、船乗りになりたかった気持ちもあったんですよね。人生っていろんな転機がありますね。
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薬剤師になろうと思っていたわけではなかったんですね
そうですね。当時は、薬剤師の仕事をするとは思ってもいなかったです。薬剤師の仕事をするまでには、多くの方々と出会ってここまできました。営業では、自分の適正があっていたとこともあり、成績もよく楽しく仕事をしていました。医師や医療関係者との出会い、上司方々から叱咤激励をされながら、たくさんの経験ができました。そのような中での独立、そして薬剤師の仕事をするという流れは必然だったのかもしれないですし、偶然出会ったみなさんがいたからだったのかもしれません。多くの方々との出会いに感謝していますし、今でもお付き合いをさせていただいています。
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15年間で19店舗の運営をされていますが、今後はどのようにお考えですか?
今まで27店舗を出店しましたが、そこから松山市での集中展開を考えて19店舗に一旦縮小をしています。松山市以外での店舗運営も考えて動いた時期もあったのですが、交通機関や道路事情、立地環境などを考えると松山市以外での出店を断念した経緯があります。松山市から隣の市に通勤することも可能ですが、冬になると雪が降って薬局まで辿り着けないとなった時に、患者様に迷惑がかかることもあるなど、いろんな障害がありましたね。薬局としての使命・責任が果たせないことは、やってはいけないなぁと感じた時期があり、現在のような展開になっています。設立からの10年は出店に力を入れ、その後5年は医療機関の誘致なども含め、各店舗の充実に力を注いできました。医療機関のマンツーマンの薬局にならないようにしてきました。そしてこれから先は、松山市内で出店を加速化させることを考えています。出店をして売上を伸ばすために、新規出店、M&Aに力を入れています。松山市の医療圏ではハッピーファーマシーがNo.1だと言える会社に成長させていきたいです。大手チェーン薬局がやれること、ハッピーファーマシーにしかできないことに挑戦していきたいと考えています。
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お一人でここまでの経営手腕を発揮されてきたんですか?
一人でやれることには限界がありまし、外向きの仕事は私が行い、内向きの仕事は会社設立と同時期くらいから一緒にやってきた副社長が行なってきました。二人三脚でここまでやってきたのですが、良い会社を作るために、ぶつかりあいもしてきましたね。良き戦友です。一人ではできないですね、本当に副社長には感謝です。ただ、これからは若いメンバーが活躍していく時代です。そして新たな組織を作っていかなければならない時です。優秀な若手がたくさん成長してくれていますし、次なる経営者を育てていく時期ですね。私もまだまだ頑張りますけどね(笑)。
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新卒採用に力を入れていらっしゃいますね
新卒者の採用を始めたのは、松山大学の1期生が卒業する時に合わせて準備をしたのがきっかけです。地元の大学から選んでいただける会社をつくることに努力しました。特に人を育てることに力を入れています。薬剤師としての成長、社会人としての成長を共に大切にしています。先輩の背中を見て、厳しい先輩の姿を見て成長もしてもらいたいのですが、外部の研修、講師を招いての研修、海外に出向いて刺激を受ける研修、東京や都心部に出てたくさんの刺激を受けてもらう研修に参加してもらうようにしています。自発的に学会チームに参加することなど、様々な機会を提供するようにしています。これを強要するようなことはしていませんが、自ら進んでいろんな研修、勉強に参加してもらえると嬉しく思っています。
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「ハッピーの魔法」という言葉を使われていますが、どのような意味合いですか?
「みんなを幸せに」という気持ちですね。人は気持ち次第で変わってきますよね。従業員に向けても、患者様に向けてもこの気持ちを忘れて欲しくないと思っています。最近は「ハッピーのカプセル」と言っています。ロゴマークにもそのような表現をしています。
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新卒者にどのような期待をされていますか?
会社の思いを伝えて、それをわかってもらいたいです。私が薬学部を選んだ理由を知ってしまうと説得力が無いかもしれないですが、薬剤師は医療人であるので、その自覚を持って仕事をしてもらいたいと思っています。堅苦しいことを言ってしまうと、強要しているように感じてしまうので、口うるさくは言わないですが医療のことを考えて、患者様のこと地域のことを思って、ハッピーファーマシーの薬剤師、医療人、社会人として成長していただければと思っています。