対話を大切にし
仕事がしやすい環境を作っています
株式会社なかいまち薬局(神奈川県)
代表取締役 漆畑 俊哉
本社:神奈川県 出店エリア:神奈川県 店舗数:3店舗
設立:2013年 従業員数:20名
爽やかで、気さくに話をしてくださる漆畑社長。薬剤師、薬局に対する気持ちが熱く、何事もにも熱心さを感じる心の内を、率直に様々な角度から聞いてみた。
-
以前は、健やか薬局グループの一つとして薬局運営をされていましたが、現状はどのような組織になっていらっしゃいますか?
2013年に、株式会社なかいまち薬局が健やか薬局グループの一つの法人として立ち上がり、2016年にみなみぐち薬局、2021年に健やか薬局を弊社に移管し現在の3店舗を弊社が運営する流れになっています。健やか薬局グループという形式での運営は無くなっていますが、薬局間での連携は現在でもとっています。経営面、採用活動等については完全に別のものになっています。
-
独立されるまでの経緯を教えていただけますか?
薬科大学の大学院を卒業しましたが、大学時代に薬局に就職しようかどうしようかと迷った末に大学院を選択しました。人のためになることを試行錯誤したのですが、薬を作ることによる貢献も考えて大学院に進みました。大学院での研究は、楽しくやりがいを感じていたのですが、対物がメインになることが一生の仕事と考えた時に、自分には合わないのではないかなぁと思い始めたことで薬局に就職することにしました。迷った時間は、他者から見るともったいない時間だと思われるかもしれませんが、大切な時間だったと思えます。幼少期から店を出したい、何かを売りたいと心の片隅に思っていたこともあり、独立をしたいという気持ちも強くなり、知り合いを通して健やか薬局グループに入社し、数年間の従業員時代を経て独立を果たしました。独立をすることを前提に入社していたので、社長となったのは自然の流れですかね。
-
薬剤師、経営者の両面の顔を持たなければならないですが、ジレンマのようなことは感じられますか?
対人業務に変えていくという国の指針とは関係なく、薬剤師の仕事はそもそも対人の仕事です。しかしながら、対物業務が多いのが事実で、薬だけでなく設備やその他のモノを疎かにできません。オンライン化やAI・IT化が進むにつれ、対物は切っても切れないと思います。経営としては効率化を考えなければならないですしね。ジレンマを感じますし、悩みどころがたくさんあります。在宅についても同じように効率化を考えると、やりたいことができなくなりますしね。貢献したいという気持ちがあるから経営者になっているので、このジレンマと戦いながら運営をしていかなければなりません。
-
在宅件数はどれくらいありますか?
3店舗で施設を入れると月に1000名ほどになります。ニーズがあり、お声もかかるので嬉しいことですが、在宅と外来受付のバランスが難しいです。薬剤師の人員配置、いかに効率良く仕事をしていくかを考えています。スタッフとのコミュニケーションを多く取るようにして、課題点や問題点を話し合う機会を増やしています。患者様のことを思い、スタッフのことを思い、様々な壁にぶつかりながらやっていますね。地域性なんでしょうね、患者様もアットホームですし、医療機関や薬局を必要としているエリアなので、地域に根付いて在宅を推進できる環境にあることは幸せなことです。
-
新卒者の採用活動で求めていらっしゃいますか?
「地域貢献をどのようにしていき、どのような仕事をしたいのか」ということをわからないなりにも考えて、目標を持ってもらいたいと思っています。もちろん、貢献のことでなくてもいいです。自分のやりたいことを語ってもらいたいですね。当社は、店舗数が少なく、会社規模も小さいですが、みなさんがやりたいと思っていることを一緒に実現していける環境だと思っています。薬剤師の働き方も多様性が出てきている時代なので、薬局側もその多様性に対応できるようにしていきたいと思っています。採用面接の時や学生にはその点をしっかりと伝えて、一人一人の考えを聴いて、安心して入社いただけるように努力をしています。
-
社長の軸になっている考えはどのようなことですか?
「明けない夜は無い」ということを常に思っています。人生って波がありますよね。社会に出れば学生時代の頃よりも波が大きいかと思います。何か苦しいことがあっても、夢があればそれに向かって進むことができます。辛いことがあれば、その夢を思い起こせば立ち上がれますからね。そうやって生きていくと、辛いことも辛くなくなるんじゃないかなぁと思っています。スタッフとは、辛い時やしんどい時には話をよくします。一緒になってしんどい時を乗り越えられる精神力を養っていくようにしています。薬剤師は、何のために頑張ればいいのかわからなくなることが多々ありますが、患者様のため、地域のためにやれることをやるが基本となります。それを理解し前に進めるようになればと思って、スタッフが悩んだ時や落ち込んだ時には、そのような話をして励ますようにしています。
-
社長に気持ちを伝える時間をどのようにつくられていますか?
私も薬剤師として調剤、在宅の業務をしていますので、日々仕事をしながら対話をするように心がけています。このご時世になって、コミュニケーションツールを使う機会が増えましたが、気持ちや考え方などについては、直接会ってスタッフの気持ちを聞かなければならないと思っていますので、話す機会は多く持つようにしています。それと、非薬剤師のスタッフとして違う感性をもった外部的な意見が聞けるように、人事的な立場、企画開発的な立場の人材の採用もして社内活性化を図っています。薬剤師の感性だけでは、気づかないことやわからないことがたくさんあるので、このような立場の人がいることは会社にとってプラスに動いています。日常の仕事に変化があまりなく、薬局同士が何をして何を考えているかなどが見えない職場環境になりがちなのが薬局なので、「見える化」を心がけて仕事がしやすい環境になる努力を続けています。研修会や勉強会なども含めて、安心して働ける会社を作っていますので、安心して当社に飛び込んできてもらえたら嬉しいですね。