Topics 現場取材!インタビュー特集

在宅医療を頑張る薬局特集!

年中無休で在宅医療に取り組む!

クリーンベンチも設置している薬局

  • 個人宅のみならず、グループホームで暮らす患者さまを訪問

  • 他の患者さまと薬が混合しないよう、薬局であらかじめお薬カレンダーに薬をセット

  • 飲み忘れ防止のため、針の要らないステープラーで1回分の薬を留める工夫を行う

千葉県成田市で在宅医療に力を注いでいる薬局として知られる、株式会社健栄の「みずき薬局成田店」の薬剤師・武藤恵美さんに、施設での患者さまとの関わりや往診同行で実際に行なっていることについてお聞きしました。

  • Qみずき薬局成田店で在宅医療を始めたきっかけを教えて下さい。
    A

    みずき薬局成田店では、1年以上前に個人の患者さま宅への訪問がスタートしましたが、亡くなられてしまい、今年6月まで在宅訪問がありませんでした。車で20分ほどの場所にあるグループホームの職員から、患者さまが風邪を引かれて薬が欲しいが契約している薬局が日曜日休業のために手に入らない、とみずき薬局成田店に相談されて薬を届けたのがきっかけでした。

  • Q現在の在宅訪問の様子を教えて下さい。
    A

    グループホームには1階と2階に合わせて20人近くの方が暮らしています。病院のドクターが2週に1度往診されるのに同行しますが、第1週目は1階の方、第2週目は2階の方と分けて行うので、私たちは毎週ホームを訪れることになります。3人のメンバーのスケジュールを調整して都合をつけられる人が担当し、そのやりくりが大変ですが、毎週患者さまにお会いして様子を確認できるので、きめ細かい対応につなげることができます。

  • Qグループホーム訪問前には、どんな準備を行いますか。
    A

    訪問前にホームの職員から患者さまの健康状態(様子、血圧、食事量、風邪の状態、お肌の状態、認知症のため夜間に不穏の状態が見られるかどうかなど)が記載されたがファックスで送られてくるので、前回の処方と合わせて忘れてはいけないことを確認します。また、往診時にすぐに対応できるよう、薬の処方内容、前回の薬歴、申し送り事項を印刷して持参する準備を行います。

  • Qホームに到着して、最初に行うことは?
    A

    残薬の確認です。患者さまごとに引き出しが割り当てられているので、前回と比べてどのくらい減っているか、薬はきちんと服用されているのかを確認します。白い紙袋に薬が入っている状態なので確認に時間が取られます。今後は透明なファスナー付きビニール袋に変更して、ひと目で薬の中身を確認できるようにするつもりです。残薬が多いので、減らしていくことが今後の課題です。薬剤師が介入することによって、往診時に残薬の状況をすぐにドクターに報告することで、余分な薬を処方することを防げます。

  • Q往診時には実際にどんなやり取りが発生しますか。
    A

    ドクターが患者さまを診察する際、看護士、ケアマネージャー、ホームの職員と一緒にその様子を聞き、メモを取ります。血液検査等の結果も併せて薬の処方をどうするかをドクターが判断するので、残薬の内容や量を報告して最終的な処方内容を決めます。検査結果をスマートフォンなどで記録し、薬局に戻ってから患者さまの資料として保存することで、今後の処方にも役立てています。また、これまでの経験から、処方された薬が入れ歯に引っかかって飲みづらいという患者さまの声を聞いていたので、薬の内容によってはそのようなことをドクターに伝え、飲みやすい薬に替えて頂くこともあります。

  • Q在宅訪問後から薬のお届けまでの流れは?
    A

    薬局に戻り、ドクターの処方箋に従って、薬の準備をします。急ぎで必要なものに関してはその日中にお届けしますが、通常は翌日にお届けします。患者さまごとに薬を用意し、飲み忘れがないよう1回分ずつ薬をまとめて、カレンダーにセット。車で運びやすいよう、ボックスにカレンダーを吊るした状態にします。薬を針なしステープラーでまとめることも、ボックスに入れて運ぶ方法もスタッフたちで知恵を出し合て工夫しました。

  • Q在宅訪問をするようになり、気づきや発見がありましたか。
    A

    退院後の患者さまが実際にどのようなことで悩まれているのか、どんなご様子なのかを知ることができました。例えば、入院中にできた床ずれに悩んでいる患者さまがいらっしゃり、今後どのように処置していくかも課題のひとつです。薬局で薬を渡しているだけでは見えてこない、実際の様子を知ることができ、今後はさらに患者さまに寄り添った処方につなげられると思います。

  • Q薬剤師に求められる役割とは?
    A

    ドクターには話しづらいことを教えて下さる患者さまがいます。例えば、血圧の薬を処方されたけれど血圧が安定しているので実際には飲んでいないといった内容です。この場合、薬を飲む目的や必要性を分かりやすく伝えて、患者さまに確実に服用して頂く役割が果たせていると思います。また、先のホームの職員からは、薬を服用して具合が悪くなったら、また服用のタイミングがずれたらどうしたらよいか等、具体的な相談を受けるようになってきました。人のお役に立ちたいという思いで対応しています。