Topics 現場取材!インタビュー特集

在宅医療を頑張る薬局特集!

患者さんの生活の一部に

~患者さんの生き方に寄り添う薬局~

  • 多くの患者さんを担当できる。

  • 患者さんに寄り添った医療を提供できる。

  • 薬のことだけではなく、患者さんの暮らしを支える包括的なサポートに挑戦できる。

調剤室を飛び出して地域へ。
昨今、薬剤師は調剤室のなかだけではなく、地域へと飛び出して地域住民の健康を支えることが求められています。今回は、東京都内に22店舗を有する一般社団法人東京メディエール・ひまわり薬局浮間店の管理薬剤師である木内知子先生にお話を伺いました。

  • Qひまわり薬局浮間店の在宅医療の状況を教えてください。
    A

    現在受け持っている患者さんは15名。みなさん居宅で療養している方たちです。
    メーンの診療科は一般内科で、そのほか体調の変化があるときには連携先の皮膚科、歯科などのクリニックの医師が往診に入っています。
    薬剤師は2名体制なので、多くの患者さんを担当することができる点が魅力だと思います。

  • Q在宅訪問の流れを教えてください。
    A

    ◯在宅訪問前
    処方箋のFAXが薬局に入ります。
    処方箋をみながら調剤し、薬の準備ができたら薬歴などの資料を準備します。

    ◯患者さん宅へ移動
    患者さん宅までは歩いて10分ほど。近いので徒歩で移動します。
    移動中に、前回訪問時の内容などを頭の中で思い出しながら、本日はどのようなお話をするかを考えます。

    ◯患者さん宅
    お薬ボードをチェック。今朝までの薬が忘れずに服用されているのを確認し、体調を伺います。薬のことのみではなく、生活の悩みについてもしっかり聞き取りし、問題が見つかれば医師やケアマネージャーさんに報告します。

    ◯在宅訪問終了
    薬歴や、医師やケアマネージャーさんへの報告書を作成します。

  • Q在宅医療で大切にしていることはどのようなことですか。
    A

    在宅医療に携わるということは、患者さんの生活の一部に入って、その方の日常を支えるということだと思っています。
    ですから、その方がご自宅で気持ちよく、その方らしい毎日を過ごせるように支えることを常に念頭におき、もっとも大切にするようにしています。

  • Q患者さんがその方らしく暮らしていくために、どのようなことを実践しているのですか。
    A

    細かいことだと配薬の仕方です。
    当薬局で、ご夫婦ともに在宅医療を受けている方がいるのですが、長年連れ添ってこられたご夫婦でも服用しやすい配薬の仕方が異なるので、ご主人の分は一包化したものを薬袋に入れてお渡しし、奥様の分は服用時点ごとにボードに張り付けてお渡しするようにしています。そのほか、お薬カレンダーが良いという方、シートの名前を見ながら服用したいという方にはシートのままでお渡しするなど、患者さんお一人お一人に合わせて、その方が飲み忘れなく、かつ服用しやすい方法で薬をお渡しするようにしています。
    また、薬に関することだけではなく、その方の「暮らし」についても目を配るようにしています。たとえば、認知症で易怒性のある男性患者さんを受け持ったときのことです。この患者さんは奥様と二人暮らしをしています。奥様が来局して薬を受け取ることもできそうだったのですが、患者さまの易怒性のため、奥様に精神的に参っている様子がみられたので、在宅訪問を提案しました。これは、定期的に第三者が自宅を訪れて外の空気を入れるとともに、奥様のフォローをしたほうが良いと考えたためです。この提案は無事に受け入れられ、現在も在宅医療にてフォローアップしています。

  • Q最後に、在宅医療に関わりたいと考えている薬学生のみなさんにメッセージをお願いいたします。
    A

    在宅医療を続けていると、ときにはターミナルの状態の患者さんを受け持ち、お看取りまでを支えることもあります。症状の重たい患者さんを担当していると、臨時訪問などで忙しく、大変なこともありますが、その患者さんらしい、その患者さんが求める医療を提供し、喜んでいただくことは何ごとにも代えがたいやりがいにつながります。
    ぜひ、私たちと一緒に、患者さんがその方らしく暮らしていくための医療を届ける仕事をしてみませんか。