地域の人々に寄り添い、コミュニケーション力で患者さんを支える
「薬剤師だからできる在宅医療」に取り組む薬局
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地域密着による患者さんとの信頼関係
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患者さんに合わせた服薬管理
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地域の他職種との連携
最近、注目されることの多い「在宅医療」ですが、ひとことで「在宅」といっても施設訪問や個人宅への訪問など様々な事例があります。そこで、今回は「在宅」に興味がある薬学生の皆さんのために、カワセ薬局の近藤一成さんの在宅訪問に同行させていただき、お話を伺ってきました。
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Q在宅訪問の流れを教えてください。A
1.この日は患者様宅にお薬を持って伺います。
2.お薬カレンダーに薬をセットしながら、ちゃんと服薬できているかを確認します。
3.次回の通院予定をご案内しながら体調についてお聞きします。
4.再度通院予定の確認をしてから薬局に戻ります。この日の患者さんは昼と夜のお薬を飲み忘れてしまうことが多かったので、
お薬を朝に集約しました。朝はヘルパーさんが来ているので、飲み忘れている場合にも気づいてもらえます。また、粉末が飲みにくいようでしたので、ゼリー剤にするなど剤形変更の対応も患者さんの状況に合わせて行い、しっかり服薬してもらえるようにします。①荷物を積んで、患者様のご自宅へ出発です!
②ご病気の方だからこそ、気持ちのいい挨拶を心掛けています。
③薬が飲めているかいるかを確認し、お話しを伺い現状を把握します。
④間違いなく飲めるよう薬をセットしてから、薬局に帰ります。
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Q在宅医療に携わる前と後の印象について教えてください。A
携わる前のイメージは、ハードルが高いというか、それまでずっと薬局内にいたので外に出ることへの不安感が強くありました。
でも、実際に外へ出てみると基本的には薬局内でやっていることと同じでした。患者さんのお話を聞いて、薬剤師として何ができるかを考えて、提案するという。その中でも在宅の場合は服薬管理に重点を置くことが多いです。ちゃんと飲んでもらって、しっかり治療をしてもらうということですね。 -
Q在宅の訪問時に意識していることはありますか?A
薬剤師の役割として、お薬の説明をきちんとするということは大前提としてありますが、信頼関係を築けていなければ、正しいことを言ったとしても必ずしも受け入れてもらえるとは限りません。そういった意味では雑談を通してのコミュニケーションなどで心の距離を縮めることも大切だと感じています。
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Q在宅で苦労したことは何ですか?A
最初は他職種の方とどう連携をとったらいいのかがわかりませんでした。
ヘルパーさんや訪問看護の方にどういう風に伝えたらいいのか、お互いに何を求めているのかがわからなかったので最初は苦労しました。 -
Qそれをどのように解決しましたか?A
コミュニケーションですね。マメに連絡を取り合って報告することで、相手からも情報が入ってくるようになりました。
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Q近藤さんが考える在宅医療における薬剤師の役割とは?A
先生の意図を正しく患者さんに伝える掛け橋でしょうか。
先生がお薬を出すということは、飲んでもらえれば治療ができるという意図があります。でも、患者さんが飲めていなければ先生の意図とズレが生じてしまうことになります。そういった意味では、患者さんがお薬をちゃんと飲めるように支援することで、先生の意図を正しく伝えるということになると考えています。 -
Q在宅に向いている人とは?A
人とコミュニケーションがちゃんとできる人ですね。あとは感情移入し過ぎないことも大切です。気持ちの切り換えができるということは、大切だと思います。
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Q今後在宅医療の取り組みでやっていきたいことは?A
退院された方が、安心して家に帰れる仕組みができたらいいなと思います。
それには地域の施設同士の連携が必要なので、ケアマネージャーさんや看護師さんに、薬剤師ができることを発信していきたいと思います。
また、患者さんだけではなく介助する方の負担も解消させていけるようなことも勉強して、提案していきたいと考えています。 -
Q在宅医療に興味がある薬学生に伝えたいことは?A
患者さんは年齢性別問わず様々な方がいらっしゃいますから、いろいろな経験を積んでいろいろな人と話をして、しっかりとコミュニケーションが取れる人になることが大切だと思います。