Topics 現場取材!インタビュー特集

在宅医療を頑張る薬局特集!

在宅のやりがいは、「他職種連携」と「薬局の外で仕事ができること」

患者様へ「よりそい、ささえる」ために。『誰かのヒーローになろう!』

  • 専門部署「在宅推進課」を基点とした会社のバックアップ

  • 在宅業務未経験者でも、やる気に応える社風

  • 在宅と外来受付業務の両立を考えた人員体制

東海エリアと北関東エリアを中心に展開しているミックは、在宅への取組みが熱心。医師との往診同行、バイタルサインチェック実施、他職種連携に注力している。
岐阜県の「エムハート薬局笠松店」で管理薬剤師として勤務している櫻井真理子さんに、仕事のやりがいについて聴いてみました。

  • Q在宅へはいつ頃から取り組んでいますか?
    A

    笠松店では3年ほど前からです。会社が在宅を推進しており、当薬局も力を入れていこうということで始めました。ゼロからのスタートでした。在宅を始めようと思うと、まずは近隣の医療機関へアプローチする必要があります。私を含め当薬局のスタッフには知識やノウハウがありませんでしたが、会社の在宅推進課が、在宅業務はもちろんのこと、医療機関へのアプローチ手法などを親切丁寧に教えてくれました。何もわからなかった私たちが、今では300件にもなる個人宅や施設に出向き在宅医療を実施するまでに至りました。

  • Q在宅業務では、医師の往診同行もされていますか?
    A

    もちろんです!医師だけでなく、看護師やケアワーカー等の他職種の方々と往診し、患者様により的確な服薬指導をさせていただいています。医師からの指示はもちろんのこと、薬剤師からの提案も行いながら患者様やご家族のサポートをしています。こちらから提案をするので、薬の知識だけでなく、病気についても学び、生活環境のことなども理解する必要があり、難しいです。ただ知識を蓄えていくことよりも、他職種の皆様とのコミュニケーションを多く取り、お互いの信頼関係を築くことが重要だと感じています。

  • Q薬剤師は薬局の外に出て仕事をすることが苦手なイメージがありますが・・・?
    A

    これまでは外来受付が主な仕事だったので、薬局の外で働くという感覚が芽生えなかったのかもしれません。ただ、ここ7、8年くらいでしょうか、どの会社や薬局も在宅への取組みがなされて、薬局の外で仕事をすることも周知されるようになったと実感します。とは言ってもまだまだ薬剤師が薬局以外で活躍する場が少なく、自ら患者様宅に出向くことや、医師や看護師などの医療機関スタッフと接することに戸惑いがあったり、度胸がなかったりすると思います。それは、対話力や会話力はもちろんのこと、ビジネスコミュニケーションができない薬剤師が多いからかもしれません。
    私を含め、当社で在宅に関わっているスタッフは、外に出ることが好きだったり、他職種連携が好きだったり、元々私みたいに営業気質な(笑)スタッフが揃っているので、苦手意識は無いと思います。もし、不安に思っている方がいるようでしたら、当社に飛び込んで来てもらえれば、在宅に関わっている優秀な先輩方がバックアップしますよ!

  • Q在宅は様々な知識や技術が必要だと思いますが、すぐにできるものですか?
    A

    すぐにできるかと言えば、すぐにはできないです。ただ、当社には在宅推進課という専門部署が組まれています。静岡にある「エムハート薬局在宅調剤センター」を基点として、情報の配信はもちろんのこと、在宅実施店舗でわからないことやできないことがあれば、専門の薬剤師が店舗に出向いて指導も対応もしてくれる安心な体制づくりができています。ほんとに、どこにでも出向いてくれます。深夜でも(笑)。在宅を始める時は、センターにて研修を受けに出向いたり、その逆もあったりなど、会社全体でバックアップしてくれます。
    私も、最初はわからないことばかりで、先輩から様々な指導を受けました。特に、医療機関との交渉は難しかったです。ですから、自ら動き話しをする、見本となる素敵な先輩方が背中で教えてくださる姿は安心できましたね。

  • Q外来受付をしている薬局で、在宅業務は時間を取られてコントロールが難しくはないですか?
    A

    当薬局は、在宅担当4名、外来受付担当2名、事務4名の体制です。処方せんは1日60枚前後、在宅件数は月に300件程度です。外来でお越しの患者様にも迷惑をかけず、在宅患者様にも迷惑をかけずに実施していくには、マネジメント能力が問われますが、無駄な残業もせずにスタッフも満足しながら仕事ができていると思っています。
    お互いに助け合い、キビキビと仕事をするには、スタッフの状態や考えなどしっかりと理解するコミュニケーションが重要です。私は、在宅での移動中も無駄にせずスタッフと対話をするようにしています。対話からお互いの仕事に対する考えもわかってきますし、仕事を捗るようにするための協力体制作りを促すこともできます。そして、全員で仕事をしている意識を強くすると、やりがいにも繋がっていきます。時間配分や人員配置などは、このような対話を増やすことから始まりますので、そんなに難しいことではないですよ。

  • Q在宅のやりがいと辛さを教えてください。
    A

    私は、他職種連携ができることと、医療機関との交渉や営業ですかね。ちょっと変わってますかね・・・(笑)。もちろん、患者様との距離が近くなり、生活面なども理解できることにより、指導内容に深みが出て患者様の回復に役立てることや健康維持のサポートが継続的にできることなどのやりがいもあります。私は、学生時代から営業をしたい、自ら出向いて人と接する仕事がしたいと思っていました。そのような私の行動特性に合っているのかもしれませんね。
    辛いことはたくさんあります。何よりも患者様がお亡くなりになった時です。年齢の近い方が亡くなった時などはかなり長い時間引きずりました。ただ、亡くなられた後に、ご家族から感謝されることが多いです。「医療」に関わっているからこその辛さと喜びがあるのだと思います。

  • Q在宅を通して、これからやっていきたいと思うことはありますか?
    A

    地域包括ケアシステムで必要となることは、たくさんありますね。薬剤師ができることは未知数なように感じています。もう始まりつつある健康サポート薬局の活動もその一つです。食生活や栄養面でのサポートも欠かせないものになってきます。本来は薬剤師も管理栄養士が持っている知識も持ちながら、薬との相乗効果などでサポートしていくべきではないかと思っています。笠松店では、多くの品数ではないですが、OTCの他に栄養食品も置いていくようにしています。ドラッグストアには負けるかもしれないですが、調剤薬局としてのサポートができるようにと考えています。
    他には、地域の皆様や施設の皆様への貢献を考えての活動も行っていきたいです。今できることとしては、施設に出向いて、会社のクラブ活動でもある吹奏楽クラブが演奏会のイベントを実施しており、入所者の皆様にご好評をいただいています。心や気持ちのケアの一環ですね。
    薬剤師だから薬のことしかしないという時代は終わりを迎えつつあります。在宅から広がる様々な仕事にチャレンジしていきたいですね。