Topics 現場取材!インタビュー特集

在宅医療を頑張る薬局特集!

介護保険に先駆けて、在宅サービスを開始。

多角経営も取り入れながら、地域で暮らす患者さまとご家族を支えています。

  • グッドプランニングは薬局内での調剤業務だけでなく、個人宅や施設にお薬を届ける在宅業務を積極的に行っている会社。

  • 高齢者施設の多い神戸市北区エリアを中心に、全社で約1100人(施設約1000人、個人宅約100人)のお薬をお届けしています。

  • 全ての店舗で個人宅や高齢者施設への「在宅患者訪問薬剤管理指導」「居宅療養管理指導」を実施。

  • 患者さまや介護スタッフさんへのお薬の説明や副作用のチェック、飲み忘れ防止などの管理を行っています。往診のドクターに同行し、その場でドクターから相談を受け、意見を取り入れていただくこともあります。

今回は西鈴駅前さくら薬局の中島三代子さんに、グッドプランニングの在宅サービスの特徴についてお聞きしました。

  • Q在宅サービスを開始されてから、約20年とお聞きしましたが…。
    A

    はい、当社は介護保険が始まる前から在宅に取り組んでいます。阪神大震災の起きた平成7年にスタートしたのですが、当時はドクターが自ら、重たい栄養剤などの袋を持って往診に行っておられたんですよ。往診も不定期だったので、忙しいと次の往診までに薬が切れてしまったり、次に行ってみると薬がたくさん残っていたりと、いろいろな課題がありました。
    当社では常々地域に貢献したいという強い思いと、薬剤師の活躍の場は薬局内だけではないという意識を持っており、ドクターからの依頼を受けてスタートすることになりました。
    調剤の基本は外来です。けれど薬局に来れなくなったら「お薬をこちらから届ける」というのが自然な流れ。それがご家族に受け入れられたからこそ、ここまで広がったのです。ご家族・ドクター、両方のニーズに合ったということでしょうか。
    まず何をしたらいいのか?報酬に見合う仕事とは?始めたときは手探りで、試行錯誤の連続でしたが、早期に在宅サービスを開始しているだけに、社内にはたくさんのノウハウが蓄積されています。

  • Q神戸市内でいちばん最初に無菌室を整備されたそうですね。
    A

    2001年のことです。「自宅で最期を迎えたい」と希望される患者さまがおられました。けれども消化管のガンで次第に食べられなくなり、自宅では中心静脈栄養ができず、やむなく病院に戻られたのです。当時は神戸市内に無菌調剤室をもった調剤薬局はなく、ガン末期や病気のために食事がとれない方の自宅療養は困難でした。
    社長は在宅業務を行うには、無菌調剤室は絶対に必要だという考えで、採算度外視で設置に向けて動き出しました。不安を訴える社内を説得し、大学病院の見学に始まって、実際に業務を行っている調剤室で教えていただきながら、2002年に神戸市内で初めて調剤薬局に無菌調剤室を設置。
    点滴薬の調整ができるようになり、重症患者さまや自宅で点滴をされる患者さまをサポートすることが可能になりました。痛みや苦しみを持った人々の立場で、真心のこもったサービスを提供したいという、私たちの思いが実現しました。

  • Q在宅サービスのやりがいはどんなことですか?
    A

    調剤薬局の中にいるだけでは見えない、患者さまが求めていることを実感でき、薬剤師としての幅が広がるような気がします。
    この仕事は簡単なものではありません。でも苦労した以上に喜んでもらえます。亡くなった患者さまのご家族からも感謝の言葉をいただけ、それが次へのエネルギーになっています。
    在宅業務のポイントは、フットワークが軽いこと。私の薬局では個人宅60軒を担当。薬局の2階にある訪問看護ステーションと協力して行っています。私自身は、1週間に7~8人のお宅を訪問しています。最初はわからないことばかりでしたが、今はいい仕事だなと感じています。
    高齢夫婦の世帯で、ご主人には拒否されていたけど、奥さんのほうは薬剤師に話したいことがあったようで、通わせてもらえることになったお宅があります。やがてご主人から「自分がいなくなったら妻を頼む」と言われて…。ご主人のこと、苦手と思っていましたが、報われた一瞬でした。こんなエピソードがいっぱいあります。ぜひ若い薬剤師さんに伝えたいですね。
    薬剤師は薬を必要としている人のところへ、自ら行かなければなりません。家族の一員となって、一生懸命に支えることで「ありがとう、あなたがいてくれてよかった」という言葉がもらえるのです。さらに薬剤師も医療人として、医師や看護師と同じ土俵に立ちたいという思いも叶えてくれます。
    初めはお薬を持って行くだけでも、次第に飲ませてあげるところまでできるようになります。ドクターには言いにくい話をしてくださることもあり、ドクターとの橋渡し役としてお伝えすることも。
    訪問看護ステーションとは連携ができているので、毎週訪問している看護師から患者さまの様子を聞いて、準備することができます。
    うちの店舗では、パートさん以外の全薬剤師が手分けして在宅業務を担当しています。申し送りは欠かせませんし、困ったことがあると「これ、どう思う?」と相談しあっています。
    若い薬剤師さんも希望すれば、在宅業務に携わることができます。あまり期待せず、とりあえず行ってみてください。「帰れ!」「何しに来たんや!」心を閉ざされる患者さまもいるけど、気長に通って、少しずつ入っていける感じを味わってみませんか。
    在宅業務を継続するには若い力が必要です。ぜひ私たちと一緒にやりましょう。

  • Q訪問看護ステーションや高齢者福祉事業にも取り組んでおられますね。
    A

    もっともっと地域医療に貢献したいという思いから、2011年に「おひさま訪問看護ステーション」を開設しました。2014年からは、別法人のグループ会社にて認知症グループホームやデイサービス事業にも進出。医療を取り巻く環境の変化にも柔軟に対応しています。
    こうした調剤薬局以外の事業所では、地域の方々の健康サポートはもちろん、そこに足を運ぶ薬剤師にとっては、いろいろなことを体験し成長できる場となります。
    薬剤師は自分の専門知識を生かしながら、患者さま一人ひとりとじっくり向き合い、お薬の使い方や効果について説明することができるのです。

  • Q在宅サービスについてのスキルアップはできますか?
    A

    当社には「知識(情報)を売る薬局」というスタンスで、各種勉強会やe-ラーニングなど、薬剤師の専門的知識を深められる機会が多くあります。また年3~4回、社内で在宅の勉強会をしています。内容は薬局と訪問看護ステーション合同での事例発表や最新の話題など。現場で吸い上げられてきたリアルな知識を学べるチャンスが豊富にあります。

  • Q在宅サービスにふさわしい人材とは?
    A

    当社ではマニュアルでしばらない人材育成をしています。入社後すぐは、研修を受けていただきますが、その後は伸び伸びやれる自由度の高い会社です。
    基本的なスキルの修得や、上司や先輩への相談は必要ですが、患者さまの役に立つと思ったことは、どんどん実行して欲しいと思います。
    いつも若い人の発想は既存のものを超えていると感心させられています。ですから思いどおりに動いてください。失敗は会社全体でカバーします。指示待ち人間にはならないでください。在宅業務では特に、大事なことです。