在宅医療は、患者さまやご家族に喜んでもらえる仕事。
薬剤師にとってやりがいのあるステージです。
9つの店舗ほぼすべてで在宅訪問事業を実施している
在宅療養は「入院での治療を自宅で行う」ものと位置づけている
患者さまの不安を受け止め、心のケアもできる薬剤師を育成している
高齢化が進む我が国では、増え続ける医療費を抑制するために、在宅医療が推進されています。
薬剤師が患者さまのところへ訪問し、薬の管理や服用状況の改善が求められています。
ドクター、看護師、ケアマネ、介護スタッフなど他職種の方々と連携して、在宅医療の一端を担うことは、薬局内の業務だけでは得られない刺激となり、薬剤師としてのやりがいを感じる仕事です。
今回は大阪府内で9つの薬局を展開しているメディカル・ジャパン摂津ダイイチ薬局のK.Eさんに、自社の在宅サービスの特徴についてお聞きしました。
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Qメディカル・ジャパンでは、どのような在宅サービスをしていますか?A
当社ではほぼすべての店舗で在宅サービスをしています。施設への訪問は約8年前から。個人宅へも伺っています。私の所属する摂津ダイイチ薬局では、施設4ヵ所、個人宅の患者さま約50人を、4人の薬剤師で分担しています。
訪問先では服薬状況の確認、残薬の調整、副作用の発見のために、介護スタッフさんやヘルパーさん、ご家族に患者さまの様子を聞くことから始めます。
患者さまご本人に話を聞くとともに、患者さまの全体像をよく見ることが大事です。なぜ見るのか?それは患者さまの話だけをストレートに聞いても、ドクターや看護師さんの病識とのズレがある場合が多いのです。
認知症のない人は自分で薬を管理しておられるのですが、頓服を一度にたくさん飲んでしまうこともあったりして注意が必要です。他にも飲みやすい剤形への変更、熱中症やインフルエンザなど、季節性の疾患への予防などが主な仕事になります。 -
Q在宅訪問をする上で、気をつけていることは?A
先ほども言いましたが、患者さまだけを見るのではなく、いつも患者さまの全体像を見るように気をつけています。ご家族、ドクター、看護師、介護スタッフなどと協力していくことも大事です。介護スタッフ、ケアマネさんとは時間を決めて、定期的に打ち合わせをしています。
在宅での療養は入院での治療を自宅で受けられるようにするのが理想です。病院と同じように患者さまのケアをしていきます。
患者さまの性格や生活背景、病気の状態、どのような薬が処方されているか、個人個人の状況に応じた柔軟で的確な対応が求められます。
いろいろな患者さまと接することの積み重ねが、自分のスキルアップにつながっています。 -
Qこの仕事をしていてうれしいことは?A
何回も行っていると、患者さまと親しくなれることがいちばんの喜びですね。阪神タイガースが勝った話や若い頃の話など、お薬以外の話も出るようになると訪問が楽しみになります。
ただし、どんなに親しくなっても、在宅訪問は他人の家やテリトリーに入って行う仕事です。話すときの態度「訪問させていただいている」という気持ちや、相手を敬う気持ちを忘れてはいけないと思います。 -
Q1日のスケジュールはどんな感じですか?A
日によってちがいますが、だいたいこんな流れです。
08:45 出勤、開店準備、朝礼
09:00 開店、調剤、監査、投薬
13:30 昼休憩
14:00 老健施設への配達、職員の方との情報交換、患者さまへの服薬指導
16:30 薬局に戻り、スタッフとの情報共有、訪問報告書の作成
19:00 業務終了 -
Qドクターとの往診同行はありますか?A
私はドクターとの同行はしていませんが、往診後には処方せんが出されるので、往診の予定を把握して準備しておきます。処方せんが来たら、そこから疑義照会することもあります。
往診の最中にドクターから「この薬はすぐ取り寄せられるか?」「何を使ったらいいか?」など電話で問い合わせられることもあります。それと、いつでも連絡が取れるよう24時間携帯電話を持っています。 -
Q在宅の仕事を通じて目指しているものはありますか?A
患者さまと同じ立場で考え、不安を受け止め、心のケアもできる薬剤師を目指しています。薬の説明だけでなく、生活面でのアドバイスをしたり、治療へのモチベーションが向上するよう応援していきたいと考えています。
「病は気から」という言葉がありますが、患者さまのモチベーションが治療の効果にも影響します。患者さまの心に寄り添えるような薬剤師が理想です。